司馬遼太郎文庫

Shiba Ryoutarou Bunko

 

司馬遼太郎文庫 − 蔵書紹介

 「司馬遼太郎文庫」は、閲覧室入口を入ってすぐ右側の書架にあります。昭和の国民作家、司馬遼太郎氏の作品と司馬氏の関連図書を蒐集した文庫です。冊数は現在、全部で750冊。この内、600冊ほどを展示、閲覧、貸出をしています。図書館に司馬文庫ができた機縁は、昭和35年、司馬氏が直木賞を受賞されたことに始まります。同窓会が主催する祝賀会が学園の会議室で催されました。この時、同窓会は集まったお祝いのお金を元に当時出版されていた司馬氏の小説を全部五冊づつ購入することに決定しました。このとき購入された図書が後に「司馬文庫」の根幹を成す図書となりました。加えて、平成三年頃から、司馬氏は図書館にご著作を寄贈してくださることになり、ご本の寄贈は氏が亡くなってからは、奥様の福田みどり氏に受け継がれ、現在も続いています。寄贈いただいた図書はすでに二百冊を超過しています。まさしく「司馬遼太郎文庫」は氏と奥様の十数年にわたる学園、図書館に向けられた稀有な愛情が結実したものといえます。図書館は「司馬遼太郎文庫」のより一層の充実をめざして努力していきたいと思っています。

 

司馬遼太郎

司馬 遼太郎 (シバ・リョウタロウ)
【本 名】 福田定一 
【現 職】 小説家
【卒業年度】 1941年卒業 ・ 旧中25期 
【 賞 】 『梟の城』で直木賞 受賞
       1981年 芸術院会員 選出
       1993年 文化勲章 受賞
【代表作】 『竜馬がゆく』 『坂の上の雲』 『国盗り物語』 『峠』  
      『新選組血風録』 『燃えよ剣』 『街道をゆく』他・多数

☆ 昭和を代表する小説家であり、類まれな文明批評家でも あった。
また日本だけではなく、世界の辺境をめぐって書 いた『街道をゆく』は
その該博な知識と、歴史と人間を見通 す司馬史観は亡くなって
10年が経過した今も多くの読者の支持を得ている。

☆  司馬遼太郎氏は母校の上宮学園のために『司馬遼太郎全集』 全巻・
『街道をゆく』全巻、加えて、新刊書を継続的に図書館 に寄贈して
いただいた。また氏が亡くなってからも、氏の遺志 は引き継がれ、
現在も奥様の福田みどり様より継続して新刊を 寄贈していただいて
います。図書館では寄贈していただいた 図書を中心に
「司馬遼太郎文庫」を設けており、文庫の総数は、
現在785冊を超えている。また「司馬遼太郎文庫」は
常時、生徒・教職員に閲覧・貸出しされている。  

 
新しく「司馬遼太郎文庫」の一員となった著作を紹介します。司馬氏が亡くなって既に二十年近くが経過しました。しかしながら司馬人気は衰えることを知りません。混迷する日本を救う智恵を司馬氏に求めているのでしょう。今日も司馬作品や司馬作品を論じた著作が次々と出版されています。これからも私ども上宮の図書館は、偉大なる先輩、司馬遼太郎氏の蔵書の完璧を目指し、司馬作品のみならず関連の著作も含めた集書を心がけていきます。

2016年度前期に購入した司馬遼太郎氏関連の著作

『司馬遼太郎 街道をゆく』 用語解説詳細地図付き 全8巻  
司馬遼太郎著 202p 21p 2016年刊 朝日新聞出版 

司馬遼太郎の畢生の大作『街道をゆく』はすでに各種、出版されているが、このシリーズは、『街道をゆく』の中でも特に人気のい街道を選び、本文に加え、用語解説と詳細な地図を付加したものである。つまり、この好みの一冊をカバンに忍ばせて、街道を追体験することも可能であるし、いつか旅する日を楽しみに、やや難しい用語と地図を確認しつつ、机上の旅をすることも可能なわけである。


『司馬遼太郎と詩歌句を歩く』
新海 均著 2015年刊 19p 294P 潮出版社

本著作は多くの司馬遼太郎の作品の中に登場する短歌・俳句・今様・連歌といった詩歌句を選び、より深い司馬作品の鑑賞をめざした本と言えようか。作品に登場する詩歌は実際の古典もあるが、司馬自身の創作したものも少なくない。司馬の懐ろの広さと深さを味わうのもいいだろう。



『司馬遼太郎に日本人を学ぶ』 
森 史郎著 2016年刊 18p 332P 文春新書 文藝春秋

永年、司馬番の担当記者として、司馬遼太郎を見続けてきた作者が司馬作品を年代順に組み直し、そこから何を汲み取るべきかをやさしく説いた著作である。司馬遼太郎が亡くなって二十年。司馬担当の編集者も多くが亡くなり、司馬の謦咳に接した数少ない生き残りの編集者の一人となった筆者の本当に書き残したかった作品というべき著作である。



『見果てぬ日本』 司馬遼太郎・小津安二郎・小松左京の挑戦
片山杜秀著 2015年刊 20p 354P 新潮社


2015年度に購入した司馬遼太郎氏関連の著作

『司馬遼太郎 東北をゆく』  
赤坂憲雄著 229p 20p 2015年刊 人文書院 

この本は著者の赤坂憲雄が司馬遼太郎の「街道をゆく」の東北の諸街道をまとめたものです。「陸奥のみち」「羽州街道」「仙台・石巻」「秋田散歩」「白河・会津」などの各章を読んで鮮やかに浮かび上がってくるのは、かって司馬氏が「北のまほろば」と呼んだ東北6県の豊かな文化と鮮やかな個性、そして各県が抱える現在と未来の問題だった。

『司馬遼太郎の街道2』  
愛蘭土紀行・神戸散歩・オホーツク海道 村井重俊・他 文 2014年刊 26p 435P 週刊朝日MOOK 朝日新聞出版

「司馬遼太郎の歴史街道」シリーズの2冊目。大判でカラー写真が多く、またいろいろな差し込み記事が多くて、見て、読んで楽しい一冊になっている。またアイルランド・神戸・北海道と個性あふれる地域を選んでいるので飽きさせない本になっている。

『司馬遼太郎の街道 3』  
竜馬脱藩のみち・官兵衛・モンゴル紀行 村井重俊・他 文 2014年刊 26p 207P 週刊朝日MOOK 朝日新聞出版

上記の『司馬遼太郎の街道 2』 と同じシリーズで、編集方法も同じく、大判でカラー写真が多く、司馬遼太郎世界を縦横に往来し、楽しめるようになっている。特に年齢を超えて人気の高い「坂本龍馬」が特集の中心であるので楽しみである。    

人生に役立つ『坂の上の雲』名言集
津曲公二・酒井昌昭著 2011年刊 19p285p 総合法令出版社

司馬遼太郎の傑作『坂の上の雲』の中から、人生に役立つ名言を抜き出した著作。司馬氏が生きておられたら、どんな顔をされるかと想像するとおかしいが、確かに『坂の上の雲』は人生の切所を乗り切るための名言が満ち溢れているのも確かなのである。

《 2014年度に購入した司馬遼太郎氏の著作 》

『Drunk as a Lord』  
司馬遼太郎著 加藤愛琳訳 253p 22p 2001年刊 講談社インターナショナル 
邦題は『酔って候』。幕末の四賢侯の一人、土佐の大名、山内容堂の破天荒な一生を描いた作品。幕末という激動の時代を大名として生きた容堂と坂本竜馬を代表とする下級武士との相容れない葛藤を踏まえつつもひとりの男としての生きざまを描いた作品。本書はその名作を英訳したもの。


『司馬遼太郎事典』 
志村有弘編 2007年刊 22p 435P 勉誠出版社
歴史小説だけでなく、広範多岐な文学世界を示した巨人司馬遼太郎の全貌を把握するための挑戦として本書は作られた。この日本をこよなく愛し、日本の行く末を案じ続けた国民作家司馬遼太郎の世界にアプローチするための格好の一冊です。


『司馬太郎書誌研究文献目録』 
松本勝久著 文献目録・諸資料等研究会編 2004年刊 22p351p 勉誠出版社
知りうる限りの司馬遼太郎作品の[原題][初出][再録]を書誌学的に精査した文献目録。また、映像作品も同じくその作品の[放送局][放送期間][原作][監督][演出][脚本][出演][主題歌]までを詳しく調べている。これからの司馬遼太郎研究には欠かせない著作であるのは間違いないと思われます。

「司馬遼太郎文庫」 の本 2013


 《 司馬遼太郎文庫所蔵の名作を紹介します 》
1999年初版。2000年発行。
司馬遼太郎著 朝日出版社 
20p 41P 

司馬遼太郎氏の最晩年の著作である。この書籍は二つの作品からなっている。書名にもなった『21世紀の君たちへ』と『洪庵のたいまつ』の2作品である。 共に小学生のために特に司馬氏が書き下ろしたもので、滋味深く、司馬氏の思いのこもった佳品となっている。 また、両作品は日本文学研究者としても有名なアメリカ・コロンビア大学のドナルド・キーン氏の対訳がついている。上宮の中高生たちに、男子生徒・女子生徒全員に読んでもらいたい作品である。



《 2013年度に購入した司馬遼太郎氏の著作 》
『司馬遼太郎の街道』1 週刊朝日MOOK 朝日新聞社編 朝日新聞社 
2013年刊 26p 258P 

奈良散歩・湖西のみち・近江散歩・仙台・石巻・白河・会津のみち 『街道をゆく』の中から、人気の街道を写真を多くまじえて編集しなおしたもの。亡くなって20年近くなっても、司馬文学と『街道をゆく』を愛する、いや必要とする人が多いのだろう。



「司馬遼太郎文庫」 の本 2012

新しく「司馬遼太郎文庫」の一員となった著作を紹介します。司馬氏が亡くなって既に二十年近くが経過しました。しかしながら司馬人気は衰えることを知りません。混迷する日本を救う智恵を司馬氏に求めているのでしょう。今日も司馬作品や司馬作品を論じた著作が次々と出版されています。これからも私ども上宮の図書館は、偉大なる先輩、司馬遼太郎氏の蔵書の完璧を目指し、司馬作品のみならず関連の著作も含めた集書を心がけていきます。

『新選組血風録』昭和42年 第2刷 講談社   

『燃えよ剣』と共に、土方歳三や沖田総司などの新選組の人気を決定づけた傑作小説。

『軍師二人』 昭和43年 初版 講談社 表題作の『軍師二人』以外にも『雑賀の舟鉄砲』『一夜官女』『割って城を』など、戦国時代に取材した小説を集めた短編集。『軍師二人』は大坂の両陣における真田幸村と後藤又兵衛の闘いを描く。 2012年度に購入した司馬遼太郎の著作 

『会いたかった人、司馬遼太郎』 中村 義著 文芸社 2012年刊 

『週刊司馬遼太郎8 週刊朝日MOOK 朝日新聞社編 朝日新聞社 2012年刊 

『大阪人 司馬遼太郎は「大阪」をどのように見ていたか・ほか』 中村和代編  大阪都市工学情報センター 2012年刊 

『司馬遼太郎の幻想ロマン』 磯貝勝太郎著 集英社 2012年刊 

「司馬遼太郎文庫」 の本 2011

新しく「司馬遼太郎文庫」の一員となった著作を紹介していきます。司馬氏が亡くなって早や二十年近くが経過しました。しかしながら司馬人気は衰えることを知りません。日本人は今も混迷する日本を救う智恵を司馬氏に求めているのでしょう。今日も司馬作品や司馬作品を論じた著作が次々と出版されています。これからも私ども上宮の図書館は完璧を目指して司馬作品のみならず関連の著作も含めた集書を心がけていきます。



関西大学法学部教授、山野博史氏が司馬氏と同時代の知識人たちが司馬遼太郎とその作品群をどのように評価していたかを、彼らの著作の中から、その実像を浮かび上がらせた労作である。彼らとは海音寺潮五郎、源氏鶏太、今東光、富士正晴、吉田健一、大岡昇平、桑原武夫、田辺聖子ほかの諸氏であり、その名前と彼ら自身の作家としての重さを考えるだけで、司馬遼太郎の重要性がよく判る好著となっている。



2011年度に購入した司馬遼太郎文庫の著作 

『三島由紀夫と司馬遼太郎「美しい日本」をめぐる激突』 松本健一著 新潮社 2010年刊 

『週刊司馬遼太郎Z』 週刊朝日MOOK 朝日新聞社編 朝日新聞社  2010年刊 

『司馬遼太郎とロシア』 ユーラシアブックレット 高橋誠一郎著 ユーラシア研究所 2010年刊 

『司馬遼太郎を活用する!教えてくれる生き方・考え方』 鷲田小弥太著 彩流社 2010年刊 

『竜馬という日本人 司馬遼太郎が描いたこと』 高橋誠一郎著 人文書館 2010年刊 

『司馬遼太郎が書いたこと、書けなかったこと』 小林竜雄著 小学館 2010年刊 

『未来をつくる君たちへ 司馬遼太郎作品からのメッセージ』 立花隆著 NHK出版社 2009年刊 

『司馬遼太郎 リーダーの条件』 半藤一利著 文藝春秋社 2009年刊 

『司馬遼太郎 歴史物語 司馬文学を読み解く』 碓井昭雄著 心交社 2009年刊

『戦後思想家としての司馬遼太郎』 成田竜一著 筑摩書房 2009年刊  

『司馬遼太郎 「坂の上の雲」を読む』 谷沢永一著 幻冬社 2009年刊 

『司馬遼太郎 「坂の上の雲」なぜ映像化を拒んだか』 牧俊太郎著 近代文藝社 2009年刊  

他・多数



「司馬遼太郎文庫」 の本 2009

新しく「司馬遼太郎文庫」の一員となった著作を紹介していきます。司馬氏が亡くなって早や十年以上が経過しました。しかし司馬人気は衰えることを知りません。日本人は混迷する日本を救う智恵を司馬氏に求めているのだと思います。現在も司馬作品や司馬作品を論じた著作が次々と出版されています。これからも私ども上宮の図書館は完璧を目指して司馬作品のみならず関連の著作も含めた集書を心がけていきます。


2009年 
前期 購入


『司馬遼太郎・傑作短編選』「戦国の女たち」 PHP文庫

PHP研究所 定価:本体600円(税込) 2006年刊 


『司馬遼太郎・傑作短編選』「戦国の忍び」 PHP文庫

PHP研究所 定価:本体500円(税込) 2007年刊 


『司馬遼太郎対話選集』 4巻・6巻・7巻・8巻・9巻・10巻

司馬遼太郎著 文藝春秋 定価:本体540円(税込) 2007年刊 


『文藝春秋』 第87巻第12号』 平成219月発行 

完全保存版 文藝春秋 定価:本体750円(税別) 


『司馬遼太郎の「意外な歴史眼』

福井雄三著 主婦の友社 定価:本体599円(税込) 2008年刊 


『司馬遼太郎の「場所」』 ちくま文庫

松本健一著 筑摩書房 定価:本体798円(税込) 2007年刊 


『司馬遼太郎を読む』 

中村 稔著 青土社 定価:本体1995円(税込) 2009刊 


『週刊司馬遼太郎X』 「週刊朝日MOOK」 2冊

山口一臣編 朝日新聞社 定価:本体900円(税込) 2009年刊 


『司馬遼太郎[坂の上の雲を読む]』 

谷沢永一著 幻冬舎 定価:本体1000円(税込) 2009年刊 

 


「司馬遼太郎文庫」 の本 2008

今年新しく生まれたページです。新しく「司馬遼太郎文庫」の一員と
なった著作を紹介していきます。司馬氏が亡くなって早や十年以上が
経過しました。しかし司馬人気は衰えることを知りません。日本人は
混迷する日本を救う智恵を司馬氏に求めているのだと思います。
現在も司馬作品や司馬作品を論じた著作が次々と出版されています。
私ども上宮の図書館も完璧を目指して司馬作品のみならず関連の
著作も含めた集書を心がけていきます。

 

『司馬遼太郎と網野善彦』 「この国のかたち」を求めて

河原崎剛雄著 明石書店 定価:本体2000円(税別) 2009年刊 

 

『司馬遼太郎が発見した日本』 『街道をゆく』を読み解く

松本健一著 朝日新聞社 定価:本体1300円(税別) 2006年刊 

 

『週刊朝日MOOK 週刊司馬遼太郎』 

朝日新聞社刊 定価:本体857円(税別) 2008年刊 

 

『文藝春秋』 第86巻第8号』 平成207月発行 

特集「司馬遼太郎 日本のリーダーの条件」完全保存版

文藝春秋 定価:本体710円(税別) 

 

『司馬遼太郎と朝鮮』 「坂の上の雲」−もう一つの読み方

備仲臣道著 批評社 定価:本体1800円(税別) 2007年刊 

 

図書館で発見された司馬遼太郎氏の旧制中学時代の
作文が司馬遼太郎記念館に寄贈されました。

 5月末に図書館において、司馬遼太郎氏が在籍されていた時期の校友会雑誌『上宮』が発見されました。今回発見された『上宮』は小西元校長が学園史資料として収集されていたものでした。しかもその中には司馬氏が旧制中学の1年に書いた「作文」(昭和11年12月発行)と卒業に際して書いた「卒業生片言」(昭和16年3月発行)を掲載している号が2冊見つかり、さっそく司馬遼太郎記念館に寄贈されました。今のところ、残りの雑誌からは司馬氏の文章などは発見されておらず、この2冊は、いわば現存する最も古い司馬氏の文章であると同時に、司馬氏の少年時代を伺い知る貴重な資料といえます。
 
 7月27日の寄贈式の様子と2冊の『上宮』が産経新聞・朝日新聞など多くの新聞社によって大きく報道されましたので、ご記憶に新しい方もいらっしゃる事と思います。 特に『上宮』の第30号に掲載された「物干臺に立って」と題された作文は、その後の大作家・司馬遼太郎の才能の片鱗を垣間見せてくれるものとして今後、大いに注目されるでしょう。内容は、福田少年が当時、浪速区にあった自宅の物干し台から眺めた大阪市街の秋の風景を描いたものです。

 「秋風が冷やかに吹き、日本晴の空は果てしなく澄みわたってゐる。私は物干台に上がって何気なく四方をながめた。黒い煙をはく煙突は林のやうに立ちならび、屋根が大波のやうにうねってゐる。」と大景から書き出し、次に「そっと踵を上げて見ると赤い大きな屋根の家が見えた。難波警察らしい。」というように建物を点描します。また「今度は頭を左にまはす」と視線が動き、そこには作者がよく知っている「稲荷小学校」や「高島屋」「歌舞伎座」が次々と姿を現してくる。そして大阪のミナミを経巡った視線は最後に「お隣の柿の木がつけた赤い柿の実」に帰ってきます。落しどころは「柿は人待ち顔にそれを待ってゐるやうな気がしてならない」でしょうか。教師の「素早い観察の中にも無邪気な空想が乗せてある」という短評はこの最後の一文に騙されたものでしょう。実に心にくいばかりの構成です。本当に14歳の少年の作文?


○『上宮』第36号 昭和16年3月発行  
 
  「卒業生片言」福田 定一
  「希望は天上にあり、實行は脚下にあり、後生須らく實行の人たれ」

司馬遼太郎氏が生涯を掛けて描いた歴史小説の主人公たちは全て、上記の言葉を人生を掛けて実践したような人物ばかりでした。坂本竜馬・織田信長・村田蔵六・土方歳三・秋山真之しかりです。18歳にしてこの言葉。司馬遼太郎氏自身も生涯、竜馬や信長と同じく希望を天上に見つめ続け、実行の人たらんと生きた人でした。

※「卒業生片言」とは上宮の伝統の一つで、卒業生が卒業にあたり、恩師、後輩に書き残した短文のこと

○≪司馬遼太郎が歩いた大阪≫ 図書館所蔵の昭和10年発行の大阪の町の鳥瞰図。 鳥の視点で見た大阪市街をきれいなイラストで書 いている。また司馬氏が物干し台から見た「難波 警察署」の赤い屋根。青い屋根の歌舞伎座」など も正確に描かれている。このイラストは司馬氏の 描写力の正確さを証明するだけではなく、福田定 一少年が歩いた昭和10年代の大阪の町をそぞろ 歩きをしているような気にさせてくれる傑作です。


「司馬遼太郎文庫」作品紹介


第2回『一夜官女』  昭和43年発行 初版 東方社

【初 出】 
 昭和37年2月「講談倶楽部」掲載
【執筆年齢】 
 39歳
【小説の舞台と時代】 
 摂津野里村、戦国時代
【あらすじ】 
 野里村の年寄りたちに旅の途中の小若は明日、明神の一夜官女になってほしいと懇願される。一晩こもり堂で寝るだけだという。小若は承諾し、こもり堂に入ると、闇の中に男が寝ていた。 岩見重太郎だった。後に小若は大坂の冬の陣で鬼神のごとき働きをし、討ち死にした岩見重太郎のウワサを聞く。戦国の世を生き抜いた男と一人の女性の一夜の淡い恋を描いた佳品。
【司馬遼太郎文庫】 
 今はめったに見られない東方社の司馬作品を『一夜官女』以外も「司馬文庫」はいくつか所蔵している。『喧嘩早雲』『豚と薔薇』などがそうだが、いづれも初版の貴重な本である。   
【参考図書】
 別冊歴史読本 『司馬遼太郎全作品大事典』 







 第1回『竜馬がゆく』  全5巻 昭和43年発行  文藝春秋

【初 出】 
 昭和37年6月21日〜昭和41年5月21日付「産経新聞」連載
【執筆年齢】 
 38〜42歳
【受 賞】 
 本作品と『国盗り物語』で昭和41年菊池寛賞。
【小説の舞台と時代】 
 土佐・京都・江戸・長崎・長州・幕末                    薩長同盟を実現した坂本竜馬の出生から、33歳で暗殺されるまでの激動の人生を描いた作品。永遠の 青春賛歌。
【映像化】 
 昭和43年NHK大河ドラマ化・昭和45年映画『幕末』の原案
【司馬遼太郎文庫】 
 文藝春秋の全5巻本が5セット揃っている。発行されて40年になんなんとしているが、まだ現役で頑張っている。毎年、図書館では十人はこの本で「司馬中毒」にかかる。
【参考図書】
 別冊歴史読本 『司馬遼太郎全作品大事典』